富子すきすき 宇江佐真理 本の紹介
*本の紹介
ひとつひとつの短編は独立したものでありながら、根底に流れているテーマは
一貫している。
赤穂の浪士たちに討たれた吉良上野介の妻、富子の苦悩を描いた表題作の
「富子すきすき」の他、
古着屋で売られていた奇抜な柄の帯を手にした娘たちの運命「藤太の帯」。
兄と慕っていた幼馴染みへの恋が成就しなかった娘の行く先「堀留の家」。
凶刃の前に立つ花魁「おいらの姉さん」。
意気地と張りを通した辰巳芸者「面影ほろり」。
盗人の娘が選んだ道「びんしけん」。
それぞれの物語に登場する女たちがさまざまな岐路に立たされたとき、
どのような選択をし、決断するのか。戸惑い思い悩む姿が切なく描かれる。
そして、その女たちが選んだ行動が波紋を広げ、周囲の者たちをもまた岐路に
導くことになる。
ひたむきな女たちの思いを受け入れる側にとって、それが希望に満ちたもので
あったりする一方で、とても辛く、物悲しい思い出の一幕になってしまったり
もする。
人がひとりで生きています、なんて顔を決してしてはいけない。
血縁があろうと、赤の他人であろうと、この世にいる限り人は何かしらの絆で
結ばれているのだと、六編の物語は語ってくれるのだ。
*上記は講談社文庫版の解説を一部掲載(作家:梶ようこ)
著者:宇江佐真理
出版:朝日新聞出版
発行:2022年05月30日 第1刷発行
定価:700円+税
*文庫本 A6サイズ 330ページ 厚さ1.4センチの紙の本です。
この本を読んでみませんか。
それでは、またお会いしましょう。そして、さようなら。
読書室トト中の人、ヒコでした。
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